企業の資金調達の方法として広まりつつあるファクタリング。
ファクタリングでは、ファクタリング業者に「売掛債権(売掛金)」を買い取ってもらい、現金化することで資金調達を行います。
融資ほど審査が厳しくなく、現金化が早いため、支払サイトよりも早く現金が必要になった場合などに便利な方法です。
ただ、日本ではまだなじみのない方法でもあります。ファクタリング業者を選ぶ際、不安に思うこともあるでしょう。
そこで、本記事にファクタリング契約を行う際の注意点をまとめました。
業者選定時の注意点
ファクタリング業者を探す場合、まず、インターネットで検索することが多いかと思います。その際、業者のホームページで会社情報を必ずチェックしましょう。
商号、代表者、資本金、所在地等を表記していない業者や、サイト運営者しか表記されていない業者は、避けた方が安全です。
ウェブ申込の場合は入力情報の確認画面や、契約までのやり取りをメールなどで記録しておくと、契約時に事前の説明と違うことがあった際、証明になります。
契約は、相手の信用度を量ることができるので、できれば対面で行うことが望ましいです。直接会うことを避けたがる業者は、注意した方が良いでしょう。
信用できる業者として、大手金融機関が運営しているファクタリングや、日本ファクタリング業協会の会員などが分かりやすいところです。
2社間と3社間の契約がある
ファクタリングは、2社間で行う場合と、3社間で行う場合があります。
「2社間ファクタリング」は、売掛債権を保有している企業とファクタリング業者とで行うファクタリングです。
「3社間ファクタリング」は、売掛債権を保有している企業とファクタリング業者に、売掛先企業も加わる形になります。
2社間は債権譲渡登記に注意
2社間の場合、通常、「債権譲渡登記」が必要になります。
「債権譲渡登記」とは、文字通り「債権が譲渡されたことを登記すること」です。東京法務局で行います。
これは、債権の保有者を明確にするために必要なことですが、この情報は公開情報となるため、ファクタリング利用企業にとって注意が必要な点です。
一番注意すべきなのが、ファクタリングとは別に銀行の融資を受けたい場合。
金融機関が債権譲渡登記を調査した場合、融資の審査に不利になる可能性があります。あらかじめ担当者に説明するなどの対応をしましょう。
また、あまりないパターンですが、売掛先企業が債権譲渡を知ることで、ファクタリング利用企業に対する信用が下がるということも考えられます。
3社間は売掛先企業の承諾が必要
3社間の場合、売掛先の企業の承諾を得る必要があります。
その際、売掛債権保有企業の信用を下げることのないよう、説明と手続きを進めるよう注意が必要です。
売掛先企業との手続きを、ファクタリング業者が行うのか、売掛債権保有企業が自ら行うのかもあらかじめ確認しておきましょう。
契約書の確認は厳重に
どんな契約でもそうですが、ファクタリングにおいて、契約書の確認は非常に重要です。
そもそも契約書がない、契約書があっても説明が曖昧、あるいは契約書の控えをもらえない業者は、悪徳業者である可能性が高いので避けるべきです。
契約書を確認して、不明な点や、意味がどうとでも取れる点、修正ほしい点があれば、必ず契約前に伝えて明確にしておきましょう。
さらに、契約内容において特に注意したいのが、次の点です。
対象の売掛債権と決済日
対象となっている売掛債権は何なのか、決済日はいつなのか、基本的なことですがきちんと確認しましょう。
普通の業者であれば特に問題になりませんが、悪徳業者の場合、何かと理由をつけて現金化を引き延ばすなどのケースがあります。
ノンリコースであるか
ノンリコースファクタリングとは、償還請求権なしの完全買い取りのこと。
万が一売掛先企業から支払いがなかった場合も、ファクタリング利用企業に支払いの義務は生じないという契約です。
日本国内における一般的なファクタリングはノンリコースファクタリングです。
しかし、業者によっては、利用企業が支払い義務を負うリコースファクタリングを行っているケースがあります。
そういった業者を避けるためにも、契約内容はしっかりと確認しましょう。
手数料が相場の範囲内か
ファクタリングでは、売掛債権をファクタリング業者が買い取り、手数料を引いた額面を企業に渡します。
この手数料がいくらになるのか、最終的にいくらの現金が手に入るのかが、非常に重要です。
法外な手数料を要求する悪徳業者もいるため、契約前に必ず確認しましょう。
ファクタリング手数料の相場は、次の通り2社間と3社間で違い、2社間の方が手数料は高めです。
2社間ファクタリング:10%~20%
3社間ファクタリング:1%~5%
手数料を抑えることを優先するなら3社間ファクタリングの方が良いですが、2社間ファクタリングの方が現金化は早いので、状況に応じて選びましょう。
売掛先の信用によっても、手数料は変動し、売掛先の信用が高いほど手数料は安くなります。
もし、ファクタリングを予定している業者の手数料に納得いかない場合は、他の業者と比較してみると良いでしょう。
注意点を踏まえた活用を
ここまでまとめてきた注意点を踏まえてファクタリングを利用することで、悪徳業者の被害に遭うことや、不利な事態になることを大幅に防ぐことができます。
日本ではなじみが薄いことで警戒されることもあるファクタリングですが、健全な活用をすることで、企業の成長の力になります。
そのためにも、ここで紹介したような注意点は必ず頭に入れて、業者の選定や契約を行うようにしましょう。