ファクタリングは、「売掛債権(売掛金)」の譲渡による、資金調達の方法のひとつ。
ファクタリング業者は売掛金を買い取り、手数料を割り引いた額をファクタリング利用企業に渡します。
ファクタリング利用企業は、売掛先から支払われた売掛金をファクタリング業者に渡す必要はありますが、「返済」の必要があったり、「利息」がついたりすることはありません。
本来のファクタリングの形は、法律的に何ら問題なく「合法」です。
しかし、ファクタリングを装いながら実態は闇金といった、悪徳業者も少なからず存在します。そういった業者が、「違法」なファクタリングを行っています。
2017年には、そういったファクタリングを装った違法な業者が、貸金業法違反で逮捕される事件もありました。
本記事では、ファクタリングに関する「違法」のパターンと、そういった業者を見定めるためのポイントをまとめます。
知っておきたい3つの法律
ファクタリング業者に関して、違法か合法かを判断する際に知っておきたいのが、次の3つの法律です。
- 貸金業法
- 利息制限法
- 出資法
貸金業法は、消費者金融などの貸金業者や、貸金業者からの借入れについて定めている法律です。
貸金業を行う業者は、貸金業法の対象となります。また、貸金業を行うためには、まず、財務局または都道府県へ登録を行う必要があります。
登録をせずに貸金業を営むこと、また、貸金業法に違反することは「違法」です。
ファクタリングは基本的に貸金ではないため、貸金業の登録は必要なく、貸金業法の対象にもなりません。
しかし、ファクタリング業者を装いつつ、取引の実態は貸金であるという場合、貸金業法違反の「違法」であるとみなされます。
利息制限法と出資法は、貸金の金利の上限を定めるものです。
利息制限法の上限金利は、年利15%~20%で、超過する場合は民事上無効となります。
出資法の上限金利は、年利20%で、超過すると刑事罰の対象となります。
いずれにせよ、貸金を利用する場合の金利は年利20%を超えると違法、ということになります。
ファクタリングは貸金ではないため、本来、利息制限法や出資法は関係ありません。
ただ、ファクタリングを装い実質貸金を行っている悪徳業者では、この20%を超える金利を設定している場合が多いです。
違法な業者を見定めるポイント
前述の法律も踏まえて、違法なファクタリング業者を見定めるには、次のようなポイントがあります。
「貸金」を行っていないか
「ファクタリング」をうたっていても、売掛債権を譲渡するのではなく「担保」にしたり、回収した売掛金以外に「返済」の必要があったり、「利息」がついたりするのは、ファクタリングではなく「貸金」です。
また、ファクタリングと共に「融資」を勧めてくる業者にも要注意です。
まずは、その業者が行っていることが本当に「ファクタリング」なのかを見定めましょう。
また、ファクタリングとは別に「貸金」を行っている業者の場合、登録がある業者なのかもチェックしましょう。
「手数料」は相場の範囲内か
貸金の場合は「金利」がつきますが、ファクタリングの場合は「手数料」が割り引かれて売掛債権が現金化されます。
この手数料にも相場があります。
ファクタリングには、売掛債権保有企業とファクタリング業者とが行う「2社間ファクタリング」と、売掛先企業も関わる「3社間ファクタリング」とがあり、それぞれの手数料の相場は次のようになっています。
2社間ファクタリング:10%~20%
3社間ファクタリング:1%~5%
売掛先の信用度により手数料が変動しますが、高くても20%を超えることはなく、これは貸金における利息制限法が定めるところと同様です。
上記を超える手数料を設定している業者は、悪徳業者と考えた方がよく、何らかの違法行為が行われている可能性もあります。
ファクタリングは貸金業ではないため、基本的に利息制限法が適用されることはありませんが、実質貸金という悪徳業者に対し、裁判所で利息制限法が適用された例もあります。
「ノンリコースファクタリング」であるか
日本国内のファクタリングは、償還請求権なしの完全買い取りである「ノンリコースファクタリング」が一般的です。
これは、万が一売掛金が回収できなかった場合も、ファクタリング利用企業は支払いの義務を負わないという形のファクタリングです。
しかし、ファクタリング利用企業が支払いの義務を負う「リコースファクタリング」になっている場合、悪徳業者の可能性が高まります。
そして、支払ができないとなると、高利で貸金を行うなどの違法行為につながります。
契約書が重要
違法行為を行うような悪徳業者の被害に遭わないためには、業者選定時の見極めも重要ですが、契約書の確認がさらに重要です。
ここで挙げたような点が契約書に明記されているか確認した上で、不明な点や、修正が必要な点は、契約を結ぶ前に必ず解決しておきましょう。
そして、契約書の控えも必ずもらうようにします。そもそも契約書がなかったり、説明が曖昧だったりする業者は危険です。
冒頭でも述べたように、ファクタリングそのものは「合法」で、まっとうな業者もきちんといます。
信頼できる業者を見定めて、有益なファクタリングを行うようにしましょう。